介護用品バンク設立 寄付集め在宅介護家庭へ(岐阜)

2022年0906 福祉新聞編集部
西村さん(左端)、熊﨑理事長(左から2人目)=下呂福祉会提供

 岐阜県下呂市にある社会福祉法人下呂福祉会(熊﨑敏彦理事長)は9月1日、不要になった紙おむつ、尿とりパッドなどの介護用品を寄付してもらい、市内で在宅介護をしている家庭に無償で届ける事業を始めた。

 

 きっかけは地域のケアマネジャーから「経済的に困窮している、高齢で買い物に行けない、といった理由で紙おむつを替えられず、数日汚れたまま過ごしている人がいる」と聞いたこと。在宅介護の厳しい実情に衝撃を受け、法人の特別養護老人ホーム待機者(200人以上)の中には在宅介護をしている家庭もあることから、何か協力できることはないかと考えた。

 

 地域には要介護者が亡くなり余った介護用品を使ってほしいという声もあり、法人が寄付として集めて保管し、居宅介護支援事業所などを通じて無償で支給する。

 

 支給対象は、生活困窮など何らかの事情で介護用品の入手が難しい人。対象となるかの判断はその人の生活状況を把握しているケアマネジャーらの介護、福祉関係者に任せている。要介護認定を受けていない人も対象とする。

 

 事業開始にあたり、市の広報や商工会議所を通じて介護用品の寄付を呼び掛け、すでに企業や市民から紙おむつなどが寄せられている。

 

 事業の通称は「あひるバンク」。あひる(DUCK)は「Diaper(おむつ)」「Utility(便利なこと)」「Compassion(相手を思いやる心)」「Kindness(親切さ)」の頭文字を取った。法人の管理栄養士兼生活相談員補佐の西村俊司さんは「市民らが寄付してくれる相手を思いやる心も含めて届けたい」と話している。

 

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