障害者の情報アクセスや意思疎通支援を強化 厚労省が報告書案

2022年0613 福祉新聞編集部

 厚生労働省は6月3日、障害者総合支援法の見直しに関連し、障害者の情報アクセスや意思疎通支援を強化する考えを社会保障審議会障害者部会(座長=菊池馨実・早稲田大教授)の報告書案に盛り込んだ。

 

 5月19日に成立した「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」を踏まえ、意思疎通支援者の養成や、障害者からの相談対応などを促進することを明記した。同部会は6月中に報告書をまとめることにしている。

 

 手話通訳や要約筆記などによる意思疎通支援は、障害者総合支援法の地域生活支援事業(都道府県・市町村が実施主体)に規定されているが、その取り組みは地域差が大きいと指摘されてきた。

 

 同部会委員の石野富志三郎・全日本ろうあ連盟理事長は地域生活支援事業について、「国の予算はこの12年間さほど伸びていない。財源確保を報告書に明文化してほしい。格差をなくすため必要だ」と念を押した。

 

 新法は国や自治体に対し、障害者の情報取得に役立つ機器の開発や普及を促すことなどを義務付けたほか、個別分野の施策を法的、財政的に支えるよう政府に求めた。5月25日に公布・施行された。

65歳問題も意見続出

 このほか、65歳になるとそれまで利用していた障害福祉サービスが市町村によって機械的に打ち切られ、介護保険の利用に移るよう迫られる「65歳問題」についても、委員から是正を求める意見が続出した。

 

 65歳になった障害者が不本意な支給決定の取り消しを求めて市町村を提訴して解決を図る例が現に生じている。そうなる前に、厚労省がその市町村と協議する仕組みが必要ではないか、とする指摘がかねてあった。

 

 こうしたこれまでの意見の蓄積を受け、厚労省の津曲共和・障害福祉課長は「まだ確定はしていない」とことわりつつ、「ビデオ会議を活用して私が自ら市町村に直接説明する機会が必要ではないかと考えている」と回答した。

 

福祉新聞の購読はこちら