「自死遺児調査」協力を 京都で当事者の声聞くフォーラム
2026年09月18日 福祉新聞編集部
若者のグリーフケアやこどもへの「いのちの授業」を行う一般社団法人リヴオン(尾角光美てるみ代表、本部・東京)と岡山県立大は、昨春から「全国自死遺児500人調査」を開始。1年半で110人から回答があり、さらなる協力を呼び掛けている。調査グループは5日、同志社大(京都市)で、きょうだいを自殺で亡くした当時者の声を聞く特別フォーラムを開いた。生の声や、500人調査の分析などを踏まえて、今後の支援施策や政策提言に役立てる。
きょうだいの自殺に向き合って
特別フォーラムのテーマは「きょうだいを自死・自殺で亡くしたわたしたちの声」。尾角代表の進行で、高校時代に弟を亡くしたという2人の当事者が登壇して、それぞれの体験を語った。
登壇した女性の弟は13年前、学校の部活で教師から指導を受けた翌日に自殺した。当時を振り返り「母の友人から『あなたもつらいのだから、お母さんを支えようとしなくていい』と言ってもらえて救われた」と話した。
現在は「安全な生徒指導を考える会」を立ち上げ、不適切指導で命を落としたり、学校に通えなくなったりする子をなくすための活動をしている。
14年前、当時中学生だった弟を亡くした高木俊人さん(30)は、「母は『自死遺族の会』に参加していたが、私と父は自分の感情をしゃべることが苦手だったので、あまり行かなかった。つながりの場に抵抗がある人がいることも知ってほしい」と語った。
見過ごされてきた自死遺児の心
国内の自殺者数は年間およそ2万人。2006年の自殺対策基本法制定以降、遺族への支援は少しずつ拡充したが、親やきょうだいを自殺で亡くしたこども(自死遺児)への心のケアは後回しにされてきた。
こどもの場合、家族を亡くした悲しみに加え、亡くなった人の分の役割を背負わされることがある。自殺への偏見を恐れて、周囲に真実を言わないよう口止めされるケースもある。
こうした問題の中で、リヴオンと岡山県立大保健福祉学部現代福祉学科の大倉高志准教授は、昨年4月から共同で全国自死遺児500人調査を始めた。リヴオンの尾角代表と大倉准教授は、かつて「自殺とケア研究会」(木原活信同志社大教授主宰)で一緒に研究していた時期もあり、今回の共同調査に至った。
成人前(0~19歳)に親やきょうだいを自殺で亡くした人を対象に、アンケートや聞き取りを実施し、調査結果は国への政策提言や、教育・福祉現場で活用できる絵本、サポートブックの作成に生かすという。
さらに充実した調査に
大倉准教授は特別フォーラムで、きょうだいを自殺で亡くした遺児が長期にわたり心身に影響を受けやすいことを調べた海外の調査報告を紹介した。
同フォーラムのアーカイブ視聴を含む参加申し込みは220人を超え、教育、心理、司法関係者や宗教者から高い関心が寄せられた。
全国自死遺児調査の原資は、科学研究費助成金などで賄っている。同フォーラムには京都府自殺対策事業補助金を活用した。
調査への参加は、岡山県立大大倉高志研究室ウェブサイトまで。メールはt-okura@fhw.oka-pu.ac.jp。

