施設設置を後押し 全国女性自立支援施設等連絡協議会が都内で研究協議会

2024年0819 福祉新聞編集部

全国女性自立支援施設等連絡協議会(横田千代子会長)は1日、女性自立支援施設などの幹部が参加する研究協議会を都内で開いた。4月の「困難な問題を抱える女性支援法」(以下、新法)施行後初の開催。横田会長は同施設の未設置県のうち、青森や熊本で新設の動きが見えてきたとし、「新法の成果にほかならない。昨年度は厚生労働省社会・援護局に女性支援室ができた。大きな変革だ」と述べた。

同日は、女性支援室の中村彩子室長が行政説明をした。

中村室長は施設での支援を必要とする女性がいるのに、受け止めきれていない現実があること、障害のある入所者が増えて職員の負担が重くなっていることなどを報告した。

その上で、施設での支援内容にばらつきがあるとする見方にも触れ、支援の質を適正に評価する「第三者評価基準」を今年度の調査研究事業で行うことを説明した。

新法は売春防止法の一部を移し、女性の福祉の増進など新しい理念を掲げたもので、2022年5月に成立。婦人保護施設は女性自立支援施設に名称変更した。それに伴い、主催団体も従来の「全国婦人保護施設等連絡協議会」から改称した。

施設設置は新法においても都道府県の任意による。23年4月現在、39都道府県に47施設ある。定員充足率は2割を下回り、支援を必要とする女性が利用しやすいようにすることが課題となっている。

新法に基づき、都道府県は基本計画を作ることになっているが、同日の講演で戒能民江お茶の水女子大名誉教授は「自治体の姿勢はまだ消極的だ」とし、特に行政が民間支援団体との協働を進める必要があると訴えた。