作って食べて90年 保護者に惣菜も販売する茂呂塾保育園(東京)
2026年03月12日 福祉新聞編集部
自ら作って食べることにこだわりを持つ茂呂塾保育園(髙梨美紀園長、東京都板橋区)が2025年11月、創立90周年を迎えた。ますます進む少子化を見据え、ICT(情報通信技術)で業務の効率化を進めつつ、食から派生した総菜販売も始めた。
住宅街にある同園は定員72人。社会福祉法人ベテスダ奉仕女母の家(大沼昭彦理事長)が運営する。庭には柿、びわ、ブドウ、グレープフルーツといった果物の木が生い茂る。
園児にとって収穫する、洗う、皮をむくといったことは遊びでもあり、食事の下準備(仕事)だ。そんな日常は遊ぶ、食べる、働く――の三つの言葉に行きつくという。
給食がレシピ本に
髙梨園長は「食を通じて一人ひとりが役割を持ち、大きな家族のような場になっている」と話す。食材にもこだわった給食が保護者の間で評判になり、15年にはレシピ本「もろじゅくごはん」を発行。
24年1月からは中華あんかけ、キーマカレーといった総菜の販売を始めた。月に1回、20~30食限定でお迎え時に保護者に渡す。
家族4人で食べきれる量で1食400円前後。現金の受け渡しはせず、QRコードから申し込みを受けてオンライン決済する仕組みを作った。
惣菜販売を後押ししたのは、園の業務の見直しだ。定員いっぱいの同園だが、近隣の園では定員割れが広がり、危機感を抱いた。
そこで19年に髙梨園長が保育所以外の機能でどんなものがあると良いか職員にアンケートで尋ねたところ、「総菜販売をしたい」という声が上がった。
ICT化で業務改善
かといって業務が増えて職員が残業するのは避けたい。そこで業務を効率化するため、新しいICTソフトやウェブ会議システムを導入。オンライン決済による惣菜販売はそうした流れで実現した。
IT顧問を雇ったほか、職員がソフトの使い方を学ぶための1泊研修も開いたというその過程は、厚生労働省が作成した保育分野の業務改善事例集にも掲載された。
妊婦や育児休業中の女性を対象とした「赤ちゃん食堂」を年に4回開くなど、多機能化を進める髙梨園長は「私たちが目指すのは子育てや生活の支援センターになること」と話し、地域とのつながりを増やす考えだ。

