保育所の経営状況 福祉医療機構「一定程度改善」
2025年03月05日 福祉新聞編集部
福祉医療機構(WAM)は2月19日、2023年度保育所・認定こども園の経営状況に関するリサーチレポートを公表した。社会福祉法人の収益率に当たる「サービス活動収益対サービス活動増減差額比率」は保育所が5・3%で前年度比0・9ポイント、認定こども園は8・2%で0・7ポイントそれぞれ上昇。加えて赤字施設の割合はともに縮小しており、「経営状況は一定程度改善した」としている。
WAMの貸付先を対象に、認可保育所5735施設と幼保連携型認定こども園1854施設を分析した。
少子化で利用率と定員数は保育所、認定こども園ともに低下。一方、経営が改善した要因として、公定価格の引き上げや処遇改善加算の算定率の上昇などを背景に、こども1人1カ月当たりのサービス活動収益(利用児童単価)が増加していた。保育所で前年度から5840円上昇して13万5855円、認定こども園は6517円上昇して12万4397円だった。
処遇改善などで従事者1人当たりの人件費は増えたが、増収によって人件費率は低下。しかし、給食費率は物価高騰の影響から上昇していた。
分析を通じWAMは、保育所、認定こども園の経営状況は一定改善したとの認識を示した。一方、利用率の低下が継続しており、過疎地域では落ち込みが顕著になっている。出生数が過去最低を記録し続けている現状を踏まえると「今後、経営はより一層厳しくなることが予想される」とした。