「理解はまだこれから」 日本発達障害ネットワーク第20回大会
2025年01月07日 福祉新聞編集部日本発達障害ネットワーク(市川宏伸理事長、JDDnet)の第20回記念年次大会が昨年12月21日、東京都千代田区の東京商工会議所渋沢ホールで開かれ、約140人が参加した。冒頭、市川理事長は「20年たって発達障害という言葉は知られるようになったが、十分に理解されていない。まだこれからだ」とあいさつした。
JDDnetは2004年12月の発達障害者支援法の成立を受けて05年12月に発足。超党派の「発達障害の支援を考える議員連盟」(野田聖子会長)と一体的に活動し、発達障害への理解促進、政策要望などに取り組んでいる。
記念講演で市川理事長は、約40年小児精神科医として関わっている経験から「発達障害の境界は不分明で、いくつかの発達障害が重なっている。人数は非常に多い」と私見を述べた。厚生労働省の調査では22年12月時点で発達障害と診断された人は87万2000人と推計されている。
悪いイメージ払拭を
また、発達障害は外見で分からないために怠け者と思われ周囲から注意や叱責を受け、犯罪と関連づけた報道で誤った社会的イメージがつくられたことも説明し、「発達障害の悪いイメージを払拭したい。支援を求めるためには社会が理解できるようにしないといけない」と話した。
議連の山本博司事務局長(公明党)、厚労省、文部科学省、こども家庭庁の各担当者、当事者ら7人が登壇したシンポジウムでは、今後の課題として同法により都道府県、指定都市に設置されている発達障害者支援センターの質を強化すること、行政の福祉、教育、こども部署間、専門職間それぞれで連携を進めることが挙げられた。
JDDnetの会員は当事者団体、職能団体、学会、企業など60団体。