満足度など認識にずれ 障害者雇用ビジネス調査

2024年0404 福祉新聞編集部

自社で障害者を雇用するのが難しい企業に農園などの働く場を提供し、障害者の紹介やサポートも行う「障害者雇用ビジネス」について、中島隆信・慶應義塾大教授を座長とする「雇用率達成支援ビジネス問題を通して考える障害者雇用問題研究会」が、3月16日に東京都港区で開いたシンポジウムで実態調査の結果を公表した。

 

調査は昨年7月から今年1月に実施。提供している企業7社、提供企業を利用している企業23社、利用企業で働いている障害者ら91人、行政機関31カ所の回答を集計した。

 

働いている障害者の満足度について、利用企業は9割を超えたが、当事者は5割強にとどまった。また、不満な点は、利用企業は「特にない」が最多だが、障害者は「賃金アップ」「正社員・無期契約化」「キャリアアップ」が多く、認識にずれがあった。

 

昇給も企業側は「ある」との回答が多いが、障害者は「ない」が最多。能力開発も企業側はOJT(職場内訓練)を中心に行っているが、障害者にあまり認識されていなかった。

 

障害者雇用ビジネスを行う理由は提供企業も利用企業も「障害者が働ける職場不足」「採用困難」が多く、利用企業では「障害者雇用ビジネスの方が障害者の職場環境がよい」も目立った。

 

業務の指示は農園などの現場管理者を通じて行うことが多く、利用企業の社内担当者の現場訪問は年数回以下が3割もあった。

 

調査結果について中島座長は「障害者雇用を通じてどのような社会をつくるのかが大事で、その実現のための手段として障害者雇用率や障害者雇用ビジネスがある」と話している。