介護報酬改定で分科会が審議報告案 医療連携、生産性向上を推進

2023年1218 福祉新聞編集部

厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が11日に開かれ、2024年度介護報酬改定の審議報告案が示された。基本的な視点として、医療連携を推進しながら認知症や看取り、感染症への対応を強化し、自立支援、重度化防止を重視したサービスの提供を目指すとし、喫緊の課題である人材確保に向けて、テクノロジーを活用した生産性向上や業務負担軽減の取り組みを進めるとした。

 

現行で三つある処遇改善加算は煩雑な事務作業を軽減するため一本化する。4区分設けて加算率に差をつけ、配分ルールはなく事業所の裁量に任せる。25年度から適用する。

 

生産性向上では、施設系サービスなどに利用者の安全などを検討する委員会の設置を義務付け、3年の経過措置を設ける。見守り機器などを導入して業務改善の効果を示すことを新たな加算で評価する。また、特定施設については3カ月以上の試行で職員の負担軽減など効果がデータで確認できれば人員配置基準の緩和を認める。

協力医療機関義務 経過措置期間3年

医療連携体制を確保するため、施設系サービスに協力医療機関を定めることを義務付ける。経過措置は当初案では1年だったが、3年に変更する。協力医療機関には急変時に医師や看護師が相談に応じるなどの要件を課す。

 

認知症対応では行動・心理症状(BPSD)を未然に防ぐチームケアの取り組みを新たな加算で評価する。

 

感染症対策では感染者の診療を行う医療機関との連携などを要件とする新加算を創設。一方、感染症や災害の業務継続計画が未策定、虐待防止の取り組みが未措置の場合は基本報酬を減算する。

LIFE見直し 入力負担を軽減

自立支援介護に関しては、施設系サービスに利用者の口腔こうくう衛生の管理を義務付け、退所者の栄養管理情報をほかの施設などに提供する場合の加算を新設する。通所介護では入浴介助加算1.の算定要件に研修の受講を追加する。LIFE(科学的介護情報システム)については複数の加算で重複する項目の見直しなどを行い、入力負担を軽減する。

 

そのほか、老人保健施設などの多床室の室料負担、施設系サービスにおける居住費の基準費用額の見直しについては、予算編成過程で検討するとした。