サービスの質確保へ議論 有料老人ホーム検討会が初会合〈厚労省〉
2025年04月21日 福祉新聞編集部
厚生労働省は4月14日、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を立ち上げた。入居者に過剰な介護サービスを提供する「囲い込み」などが問題になる中、サービスの質確保に向けて検討する。
老人福祉法に基づく有料老人ホームは、高齢者を入居させて食事提供や入浴、清掃などを行う施設。介護保険による特定施設入居者生活介護の指定を受ける「介護付き」と、それ以外の「住宅型」などがある。全国に1万6000カ所以上あり、定員は65万人。定員数はこの10年で約2倍に増えており、介護老人福祉施設の定員とほぼ同じになっている。
そうした中、一部の有料老人ホームでは介護の必要度に応じて高額な紹介手数料を支払うケースが判明した。また、過剰に介護サービスを提供する「囲い込み」も問題となっている。
こうした状況を受け検討会は、高齢者自身が適切に住まいを選択するための情報について議論する。また、現在の契約前に行う説明ルールについても検討。紹介業者の透明性の確保に向けた方策についても考える。
このほか、有料老人ホームに対する行政の指導監督や、不適切な運営があった際の規制についても話し合う。
会合で座長に就任した慶應義塾大の駒村康平教授は「有料老人ホームは、本人の所得や好みなど市場メカニズムによるもの。しかし、介護保険と重なる部分もあり、調整が大きな問題」との認識を示し、「市場のルールをバランスよく作る必要がある」と語った。
また、全国介護付きホーム協会の植村健志副代表理事は、入居希望者に対する丁寧な説明が必要だと指摘。紹介ビジネスについては規制をかけるべきとの考えを示した。
日本社会事業大の井上由起子教授は、養護老人ホームが増えない中で、生活保護受給者も含めた幅広い人が有料老人ホームの対象になっていると主張。同様にオブザーバー参加した全国老人福祉施設協議会の里村浩常務理事も「福祉が本来必要な人には養護老人ホームへの措置で対応すべき」と訴えた。