考え方の変化に危機感 「広がれボランティアの輪」連絡会議が提言
2025年05月09日 福祉新聞編集部
「広がれボランティアの輪」連絡会議(会長=上野谷加代子同志社大名誉教授)は4月21日、ボランティアに対する考え方の変化に危機感を示す提言を発表した。本来は行政が公的な責任で対処すべき支援を、ボランティアに肩代わりさせようとする動きに警鐘を鳴らしている。
ボランティアの認知度が高まったのは、阪神・淡路大震災が発生した1995年。全国から多くの人が駆け付け、行政と対等な関係で協働したことなどから「ボランティア元年」とも呼ばれる。ただ、30年を経てボランティアを取り巻く社会が大きく変化したという。
提言は、行政や専門職がボランティアを単なるマンパワーとみなし、都合よく動員したり管理したりするケースが増えていると指摘。具体的な記述はないものの、被災地の倒壊危険性がある家屋での活動などが念頭にあるとみられる。
提言は「ボランティアは長い歴史の中で培われてきた活動。改めて価値を見つめ直すことが求められている」などと強調。それぞれの立場での協働を考え、輪を広げようと呼び掛けている。
提言を踏まえ、同会議は12日に上野谷会長と同会議副会長の原田正樹日本福祉大学長によるオンラインの公開対談を開く。
視聴の申し込みは同会議ウェブサイトから。問い合わせは同会議事務局の全国社会福祉協議会全国ボランティア・市民活動振興センター(電話03・3581・4656)まで。