地域に開く施設づくり 地元大学生と連携(丹緑会、栃木)
2025年03月11日 福祉新聞編集部
栃木県内で特別養護老人ホーム「栗林荘」などを運営する社会福祉法人丹緑会(山中桓夫理事長)は「地域に開く高齢者施設」に向けて、今年度から宇都宮大地域デザイン科学部と連携して取り組んでいる。大学生が地域の課題解決に1年かけて取り組む授業に、丹緑会が地域パートナーとして参画している。
大学生の学部内調査では「高齢者施設を訪ねたい」との回答は1割にとどまるなど、当初、大学生にとって高齢者施設は未知の分野だった。そんな中、丹緑会が閉鎖的なイメージを払拭し、高齢者施設を地域の一部にしようと取り組んでいることを学び、課題解決に向けて「人の出入りを増やす」「施設の変化を見てもらう」という目標を設定した。
具体的な実践として、これまで利用者や関係者で行っていた夏祭りを地域住民も招いて開催した(昨年9月)。大学生も準備段階から関わり、地域住民に来てもらえるよう広報などで協力。大学生の発案でアンケートに答えると抽選会に参加できる仕組みにしたことで、多くの来場者から感想や要望を集めることもできた。
また、月1回行っている手芸部の活動に大学生も参加(昨年11月)。利用者や地域のこどもらと布の端切れを使ってクリスマスのリースやオーナメント(装飾品)などを作って交流を深め、高齢者施設は気軽に訪ねやすい場所であることを知ってもらった。
丹緑会介護員兼広報の菅野美音さんは「大学生がたくさん話し掛けてくれて利用者に良い影響がある。若い人と協働できるのは心強い」と話す。
栗林荘の敷地内に新たに3人制バスケットボールコート、シェアキッチン付きカフェなどを整備する予定で、大学生との協働を通じて見えた、地域住民が日常的に集い、にぎわう施設づくりを推進していく。