介護人材は地域で育成 「入門的研修」で福祉法人が連携(埼玉)

2026年0317 福祉新聞編集部
介護の「入門的研修」テキストを発刊した熊木理事長(右)と福應理事長

 介護人材の裾野を広げるため、厚生労働省が2018年度に創設した「入門的研修」に、埼玉県三芳町の社会福祉法人などが連携して取り組んでいる。その中心となっているのが社会福祉法人美咲会(熊木佐知男理事長)だ。「地域の人材は地域で育てる」ことを掲げ、町から受託して研修を実施し、独自にテキストを発刊した。研修講師は連携する社会福祉法人などの職員が担い、教える経験をスキルアップにつなげている。

人材育成を担う責務

 入門的研修は元気な高齢者、育児が一段落した人、学生といった介護未経験者が対象。介護の基本知識、技術を学んでもらい、介護に携わるきっかけをつくる。実施主体は都道府県と市区町村(委託可)。基礎講座3時間と入門講座18時間の計21時間あり、柔軟な運用も認められている。

 ただ、研修創設から約8年たち、徐々に広がっているが、まだ十分とは言えない。埼玉県内では63市町村のうち実施しているのは24市町村(25年度、県除く)。その中で研修を受託している社会福祉法人は美咲会のみだという。熊木理事長は「福祉は極めて地域性が高い分野。だからこそ社会福祉法人が地域に根差した人材育成に一定の責任を持つべきだ」と強調する。

講師経験し職員成長

 美咲会は21年度から研修を受託し、これまでに68人が受講した。年齢層は50代が最多だが、20代から80代まで幅広く、外国介護人材も受講している。

 研修講師は地域の社会福祉法人などの職員が担う。25年度は9事業所で分担した。地域全体で人材を育てる意識を共有でき、職員が現場の生きた情報を受講者に伝えられる利点がある。職員側も「教えることを通じて自分の学びやスキルアップになる」(熊木理事長)と言う。また、入門的研修の最後に受講者と地域の介護事業者のマッチングの場として就職相談会も実施している。

 こうした自法人だけでなく、地域を巻き込んだ取り組みは、厚労省の事例集でも取り上げられている。

研修テキスト発刊

 さらに美咲会と社会福祉法人めぐみ会(福應渉理事長)は、入門的研修普及事業などを行う一般社団法人Kaigo福祉Labを設立し、入門的研修テキスト「ゼロから学ぶ介護の基本」(3850円)を発刊した。一部は両法人の職員も執筆し、現場の生の声を反映。中高校でも活用できる内容にした。オンライン視聴できる動画(別途契約)も制作した。

 また、テキストでは「ケア・アシスタント」も紹介。介護事業者が研修の受講を終えた人に高度な業務を求めてしまい、マッチングがうまくいかないケースがあるため、業務を切り分けて「利用者に直接触れない」業務から担ってもらうことを促している。

 熊木理事長は「入門的研修は地域における公益的な取り組みになる。地域で育て地域で働く仕組みづくりに向けて取り組んでいく」と話している。

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