養護、軽費老人ホームの運営費、自治体の7割が未改定(厚労省調査)
2024年12月11日 福祉新聞編集部養護老人ホーム、軽費老人ホームの所在する自治体の7割以上は、施設運営費の基準を一度も改定していないことが、厚生労働省の調査で分かった。養護老人ホームの施設運営費の基準は2006年、軽費老人ホームは08年にそれぞれ厚労省の指針を基に各自治体が規定したが、規定当時からこれまでの物価や最低賃金の上昇分などが施設運営費に反映されず、両ホームの経営に影響が出ているとの指摘もある。
厚労省は11月22日に通知を出し、両ホームの経営が悪化しているデータを示した上で、改定していない自治体に対し、具体策を示して積極的に対応するよう促した。
具体策としては両ホームの収支差、介護保険サービス従事者との給与差を確認するよう求めた。また、消費者物価指数や人事院勧告による人件費の増加率、09~21年度の介護報酬改定などを参照しながら、両ホームの収支が改善し処遇改善が行われるよう、施設運営費の基準を見直すよう促した。
調査ではほかに、自治体の1割が24年度介護報酬改定で実施されている処遇改善に合わせた対応をしていないことも分かった。検討中と答えた自治体も3~4割あった。厚労省は、対応していない自治体は両ホームや財政部局などとの協議を開始し、検討中の自治体は調整を進め、着実に実施するよう促した。
こうした内容はこれまでの同様の通知に比べてより踏み込んだものになっているが、両ホームの財源と権限は自治体にあり、最終的に対応するかは各自治体が決める。
通知ではほかに、自治体が作業を円滑にできるよう、年内をめどに施設運営費の基準改定後の単価を簡易に計算できるシートを配布することや、自治体担当者向け説明会を開催することも示している。