障害者GHに食費問題で特別監査 「恵」の過大請求で

2023年1011 福祉新聞編集部

全国で障害者グループホーム(GH)などを運営する株式会社恵(東京都)が、GH入居者から食材費を過大徴収していた問題で、厚生労働省が障害者総合支援法に基づく特別監査に乗り出したことが分かった。武見敬三・厚労大臣が9月26日の会見で明らかにした。

 

武見大臣は「一般論として、食材費を過大徴収している場合、GHの指定基準違反に加えて、障害者虐待防止法の経済的虐待などにも該当する可能性がある。行政処分の対象になり得る」と述べ、波紋が広がった。

 

特別監査は定期的に行う一般監査と異なり、不正を疑う理由がある場合に行う。厚労省は同社の業務管理体制に問題があったとみて監査する。

 

業務管理体制の整備状況や不正への組織的関与の有無を確認する権限は、介護事業大手のコムスンによる不正事案(2007年に指定打ち切り決定)を踏まえ、障害福祉分野にも設けられた。行政処分が決まった場合、その影響は大きい。

 

恵をめぐっては、22年5月、愛知県岡崎市内のGHで過大徴収の疑いが発覚。今年6月には厚労省が同様の事案がないか調べるよう全国の自治体に指示し、川崎市内のGHでは実際に過大徴収が確認された。

 

同社のGHは愛知県内だけで43カ所あり、入居者は約650人。「同社は定員20人の日中支援型というタイプのGHを多く手掛けている。この5年間で急増した」(同県障害福祉課)という。

 

同社の公式サイトによると、GH以外にも同県や関東地方を中心に13の都県で就労継続支援事業、生活介護事業、放課後等デイサービスなどを運営している。