精神障害の労災883人 医療・福祉は219人〈過労死白書〉

2024年1019 福祉新聞編集部

政府は11日、2024年版の過労死等防止対策白書を閣議決定した。業務上の心理的負荷によって精神障害となり、労災認定された人が23年度は883人で、前年より173人増えた。増加は5年連続。883人のうち自殺に至ったのは79人で、4年ぶりに増えた。業種別では「医療・福祉」の労災認定が219人で最も多かった。 一方、過労死認定の基準とされる「週に60時間以上働く労働者」の割合は8・4%で、前年より0・5ポイント減った。22年の年次有給休暇の取得率は62%で、8年連続で上昇している。

長時間労働が緩和されつつあり、有給休暇取得が進んだにもかかわらず、精神障害による労災認定が増えた。これを踏まえて厚労省は、職場でのハラスメント対策に力を入れる。特に顧客からのカスタマーハラスメントの対策は、医療・福祉分野を含む雇用主に義務付ける方針だ。

労災認定された「医療・福祉」の219人の内訳は「社会保険・社会福祉・介護事業」が112人で、全業種を中分類で比較した場合のトップに立つ。

今回の白書は医療従事者の精神障害による労災認定事案を分析した。それによると、医師の労災認定件数は10年からの6年間で10人だったのに対し、16年からの5年間は21人と増えた。労災認定の要因は「仕事内容・仕事量の大きな変化」が最も多かった。