年間の上限額を新設 高額療養費の見直し案〈厚労省〉
2025年12月22日 福祉新聞編集部
厚生労働省は15日、医療費の患者負担を月ごとに抑える「高額療養費制度」の見直し案を社会保障審議会の専門委員会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)に示した。長期の治療を続ける患者に配慮し、自己負担に年間上限額を設ける。月単位では上限額に達しなくても、年間の合計で負担が重くなる例を想定して軽減する。
8日に示した骨子案は、この年間上限の対象者を「年に1回以上現在の限度額に該当した人」と限定的にするものだったが、今回の見直し案は対象者を限定しないこととしている。
月の上限額を直近12カ月で3回超えた場合に4回目から上限額を引き下げる「多数回該当」は、現行水準を維持する。一方、1~3カ月目の上限額については、所得区分を細分化して見直す。新たな上限額は示さず、年末までに決める。
専門委員会はこうした見直し案を了承した。患者団体の代表は、年間の上限額を設けることや多数回該当の維持を評価。長期療養者の負担を緩和しつつ、それ以外の人については上限額が引き上げられる見通しとなった。
また、70歳以上の低所得層の外来受診の自己負担に上限を設ける「外来特例」は、上限額を引き上げる。対象年齢も引き上げることで絞り込む。
高額療養費制度は、患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を保険で払い戻す仕組みだ。
昨年の見直し案は今年8月から上限額を引き上げることとしていたが、政府は患者団体の反発を受けて3月に全面凍結を決めた。
それを踏まえ、厚労省は5月から専門委員会を設けて再検討してきた。

