成年後見制度の「首長申し立て」1万件超 最高裁が昨年の実績集計
2026年05月16日 福祉新聞編集部
認知症の人などの財産管理や生活を支援する成年後見制度で、居住地の市区町村長が利用開始を家庭裁判所に求める「首長申し立て」が2025年、制度開始以来初めて1万件を超えたことが最高裁の集計で分かった。孤立した高齢者の増加が背景にあるとみられる。
65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は約12%の443万人(22年度)。40年には584万人に増える見込みだ。単身世帯が増えることも確実視され、政府は身寄りのない高齢者の支援策の強化に乗り出している。
最高裁の集計によると、25年の全体の申立件数は4万2829件で、そのうち首長申し立ては1万139件(23・7%)を占めた。24年の9979件から1・6%増えた。制度開始の00年度はわずか23件だった。
各地の家庭裁判所ごとに首長申し立ての占める割合をみると、青森(45%)、徳島(43・4%)、釧路(38・8%)が高い。一方、京都、神戸、旭川などはいずれも1割台にとどまる。
首長申し立ては利用者本人に配偶者や四親等以内の親族がいない場合などに行うもので、そのことを確認するには時間がかかる。申し立てた後から親族がいることが分かることもある。
制度開始当初は、首長申し立てに慎重な自治体が多かったが、16年5月施行の成年後見制度利用促進法により、必要とする人が利用しやすくなるような体制づくりが進んだ。
一方、後見人による不正や本人の意に反した契約などが散見されたことから、国連の障害者権利委員会は22年9月、後見制度を廃止するよう日本政府に勧告した。
政府は後見制度を必要な範囲で限定的に利用できるよう民法を改正する考えだ。

