不登校の生徒が激減 大阪公立大発のYOSSスクリーニングシステム
2026年04月06日 福祉新聞編集部
生徒数が600人を超える愛知県豊田市立高橋中学校で、2024年秋からの1年半、不登校と保健室来室の生徒数が激減している。きっかけは、大阪公立大教授の山野則子さん(現、特任教授)が開発したYOSSスクリーニングシステムの導入。教育と福祉の融合の契機となり、全校生徒の客観的リスクを黄信号も含めてキャッチ。生徒への声掛けが活発になるなど、「笑顔の学校」になっている。
鮮明なエビデンス
「YOSSを導入してから、新たに不登校になる生徒が減りました」
3月初旬、山野さんのもとへ高橋中の仲田英成校長(当時、3月末で離任)から知らせが届いた。データ(グラフ(上))が添えられていた。

<グラフは、22~25年度の不登校生徒の月別変化を示している。例年、夏休み明けの9月以降は、不登校生徒が右肩上がりで増えていくのに、YOSSを導入した24年度秋以降は鈍化して横ばいに。25年度も、ほぼ同じ傾向が続いている。※4月はゼロからカウント。生徒が入れ替わるため、同傾斜となる>
もう一つ、病気やケガ以外で保健室を訪れる生徒数の変化を表した日別データ(グラフ(下))も添付されていた。
<22~25年度の日別保健室来室者数の変化を示している。YOSSを導入した24年度の秋以降は激減。25年度も、さらに来室者数は減っている>
会議は何でも話せる「居酒屋」
なぜ、激減しているのか。
まず、いじめ、虐待、貧困などのリスクを全校生徒を対象にキャッチして支援につなげていくYOSSの二つの会議だ。
学期ごとに全校一斉に行うスクリーニング会議では、全担任が遅刻、欠席などの日々の変化を約30項目にわたってYOSSシステムに入力。AI(人工知能)が暫定的にA、B、Cの3グループに分ける。Aは教職員による校内支援、Bは地域資源の活用による支援、Cは児童相談所など専門機関に委ねる支援。A、Bは黄信号、Cは赤信号と言っていい。
もう一つが、校内チーム会議。B、Cの生徒について教員が生徒を挙げて、確実に支援につなぐために、行政や福祉専門職も参加する。高橋中では、同市こども相談課、よりそい支援課、生活福祉課の職員のほか、市社会福祉協議会、SSWらが参加している。
「二つの会議は、何でも話せる居酒屋みたいな場です。しかも、すべてのこどもに目を配ることができる。貴重な会議です」
負担が軽減、先生も笑顔
教員の負担も軽減された。高橋中では、授業時間の見直しを行い、新たに年間15時間を生み出して、YOSSの入力やスクリーニング会議の時間に充てた。校内チーム会議も、合計10時間で約200人の生徒たちの方向性を決定した。
「先生が1人で抱えていた問題を、いろんな人が助けてくれる。先生はホッとする。親も安心する。不登校や保健室の来室が減ったのは、学校の『気』が変わったからだと思います。3年前まで『教育困難校』と言われていましたが、今は平和で落ち着いています」
仲田さんは、こう話した。
なお、YOSSシステムは新年度の1日から、山野さんが代表理事を務める一般社団法人こども未来社会研究所が提供していく形になった。

