すべての人に住まいを 居住支援、社会福祉法人が牽引〈大阪〉
2026年02月04日 福祉新聞編集部
入居を敬遠されがちな単身高齢者や障害者、生活困窮者らの住居確保をサポートする居住支援の輪が、大阪で広がっている。不動産物件の仲介や入居中の安否確認などの担い手となる「居住支援法人」は206法人となり、全国で最も多い。そのうち29が社会福祉法人だ。オーナーの不安は、家賃滞納や入居中の孤独死など。そんな課題に対応できる福祉専門職への期待が膨らんでいる。
府社協が勉強会
1月8日、大阪市天王寺区の研修会場で、大阪府社会福祉協議会老人施設部会が、福祉法人のための居住支援勉強会を開いた。
「オーナー(家主)の不安や負担を軽減できるのは、福祉につなげる力を持つ社会福祉法人だ。まず、福祉法人同士が交流して勉強しよう」
老人施設部会常任委員の百武昭彦さんは約60人の参加者に、こうあいさつした。
大阪の居住支援法人は206法人あり、全国(約1100法人)で最も多い。その数だけでなく、オーナーの安心を福祉の力でつくって居住支援を促進するのも大阪が一番、と言われることを目指そうと訴えた。
25年秋、改正法施行
高齢者や障害者、低所得者らを「住宅確保要配慮者」として、国が支援に乗り出したのは2017年10月。住宅セーフティネット法の施行が起点だった。
手を挙げた社会福祉法人や民間会社などを、都道府県が居住支援法人に指定して、家賃の債務保証や見守りなどの生活支援を託す活動だ。
改正によって居住支援法人の業務に、賃貸人への賃貸住宅の供給に関する情報提供や残置物処理などが加わった。また、入居中の安否確認や適切な福祉サービスへのつなぎを行う賃貸住宅(居住サポート住宅)が創設された。さらに、市区町村にネットワークをつくる居住支援協議会の設置を進めて、地域の居住支援体制を強化することなどが掲げられた。
いずれも、オール大阪で課題に挑む大阪の福祉法人が、培ってきた手法やスキルが役立つ内容だった。
7市に協議会
現在、居住支援法人は全国で約1100、居住支援協議会は約170、居住サポート住宅は132戸(26年1月21日時点)。大阪府でみると、居住支援法人は206法人(25年10月31日現在)。うち社会福祉法人は29法人と、スタートの初期から6倍に増えている。
居住支援協議会は22年に3市だったのが7市(豊中、岸和田、摂津、吹田、守口、堺、八尾市)に増え、うち3市で福祉法人が事務局を担っている。
居住サポート住宅は1戸(東大阪市の府営住宅)ができた。
居住支援協議会の設置について国は今後10年間で、人口カバー率を全国民の90%にすることを目指しており、大阪も国と同じ目標を掲げている。
抜け落ちた視点
大寒の1月20日の昼下がり。大阪府主催の居住支援研修会・交流会が、茨木市で行われた。
講師は一般社団法人熊本県賃貸住宅経営者協会事務局次長の上田浩之さん。国土交通省が主導する居住支援伴走支援プロジェクト企画検討委員会の委員も務めている。
上田さんは「オーナーが不安なのは、家賃の滞納、近所への迷惑行為、認知症の発症、万が一のときの残置物処理、死後事務などへの対応。福祉はいろんな分野でサポート体制を整えているのに、住まいだけがすっぽり抜け落ちている」と指摘した。
入居中や退居後の課題が解消されれば、大家の不安は軽減されていく。そのためにも、行政と福祉、不動産事業者が同じテーブルに着く機会が重要で、居住支援協議会がその場になり得ると話した。

