受刑者の社会復帰考える 神奈川県社協が横浜でセミナー

2026年0130 福祉新聞編集部
社会復帰について経験を語る戸塚さん(右端)

 刑罰の懲役と禁錮を一本化した拘禁刑が2025年6月に導入されたことを受け、受刑者の社会復帰を考えるセミナーが16日、横浜市内で開かれた。

 神奈川県社会福祉協議会の更生福祉施設協議会(石井謙次会長)が主催した。受刑者の抱える生きづらさを理解して接することが、結果として再犯防止につながることを各実践者が訴えた。

拘禁刑で180度転換

 横浜刑務所の福祉専門官で社会福祉士の日向洋平さんは、拘禁刑を機に刑務官が受刑者と対等な関係で対話するようになったとし、「それまでとは180度変わった。改善更生の意欲を引き出すことを重視している」と報告した。

 改善更生の意欲をめぐっては、元受刑者が自身の経験を語った。 アルコール依存症と服役を経験した戸塚一三さん(アルク・ハマポート作業所施設長)は障害者の作業所に通い、同じような経験をした仲間と出会ったことが奏功したと説明。「お酒を飲まない暮らしの方が楽しいと教えてもらった。自分一人ではお酒をやめられなかった」と回想した。

愛着形成の再構築へ

 障害のある元受刑者を受け入れる高杉知明さん(したまちグループホーム施設長)は「過酷な育ちを生き延びてきたサバイバーが多い。私は愛着形成の再構築に最も力を入れている」と話した。

 愛着を育む経験が乏しいと、他者を支配するか自分が支配されるかという極端な思考に陥りがちで「余暇の過ごし方も分からなくなる」(高杉さん)。

 自由な生活になじめず、対等な人間関係を築けない生きづらさを周囲が理解しないと「元受刑者は負の連鎖から逃れられない」(県地域生活定着支援センター長の有吉圭太さん)という。

 福祉専門官は受刑者の社会復帰を支える専門職で、14年度に設けられた。拘禁刑は刑務作業を義務付けず、「高齢福祉課程」といったプログラムで改善指導を促す刑罰だ。

 主催団体は救護施設や更生施設、女性自立支援施設のほか法務省所管の更生保護施設を含む計14施設で構成する。会員施設以外にも周知したいテーマを掲げたセミナーを原則毎年開き、今回が25回目になる。

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