厚労省が女性支援で新試行事業 他分野とつながろう

2026年0128 福祉新聞編集部
新しいモデル事業などを説明する中村室長

 2024年4月施行の困難な問題を抱える女性支援法をめぐり、厚生労働省は一時保護所や女性自立支援施設での受け入れ拡充に乗り出す。今年度の補正予算に関連経費を計上し、新たなモデル事業を始める。

 厚労省が16日に都内で開いた全国フォーラムで中村彩子社会・援護局女性支援室長は、「他の福祉分野とのつながりを深めよう」と呼び掛けた。

相談件数は増加
一時保護は減少

 厚労省によると、都道府県が設置する女性相談支援センターが受けた相談件数は、この20年間で7割増えた半面、センターによる一時保護はピーク時(09年度)より6割も減ったという。

 一時保護の減った理由としては「相談者本人が望まない」が多いものの、厚労省はセンター側の事情もあるとみる。

 23年度の人口1000万人当たりの一時保護者数を都道府県別にみると、和歌山、香川など上位5県は相談につながる経路が警察、福祉事務所、医療機関など平均で6種類。逆に、下位5県は相談経路が平均2種類と少ないという。

地域連携職員配置

 厚労省は、困り事を抱えた人は多いものの、センターがそのニーズを十分受け止めきれてないと判断。日ごろから多くの関係機関とつながりを持つセンターほど一時保護も多くなるとみて、センターに地域連携担当職員を配置するモデル事業を始める。

 地域資源を開拓したり、女性支援事業を周知したりする。女性自立支援施設やセンター併設の一時保護所のサテライトを設けるモデル事業も始める。

 暴力から逃れて居場所を隠す必要のある人は従来通りとする一方、そうでない人は生活面での制約が少ないサテライトで暮らしながら地域生活への移行を目指す。これら二つのモデル事業に9800万円計上した。

過去の性被害に着目

 また、女性支援事業が福祉の一つの分野として認知されるよう、その守備範囲の明確化も図る。

 生活困窮など目に見える問題は他の福祉制度で対応できるが、本人が幼少期に受けた性被害など、見えにくい問題を解きほぐすのが女性支援事業の使命と位置付け、そうした対応のできる人材の養成・確保を急ぐ。

 女性自立支援施設の入所者のうち、精神障害者保健福祉手帳を持つ人の割合がこの10年で倍増したことにも着目し、過去に受けた傷の回復支援を強化する。

 フォーラムに参加した全国女性自立支援施設等連絡協議会の熊谷真弓会長は、本紙の取材に「支援を必要とする人が入りやすい施設になるよう公と民の施設が協力し、人権に基づく開かれた支援を追求していく」とコメントした。 

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