一緒に歩いて依存症回復 寿アルクがセミナー
2025年12月26日 福祉新聞編集部
アルコール依存症の人が通う障害福祉サービス事業所を運営するNPO法人「市民の会寿アルク」(三浦保之理事長、横浜市)は14日、市内でセミナーを開いた。テーマは「依存症者とともに歩いて」。1978年に日本初のアルコール依存症回復支援施設「三ノ輪マック」(東京都荒川区)をつくったジャン・ミニー神父(1930~2007年)に学ぼうと企画した。
「ミニー神父からは、人間性を取り戻すということを教わった」と話したのは、三ノ輪マックの職員も務めたメリノール女子修道会のシスター照子さん。ミニー神父から「一緒に歩いてください」と言われたことを回想した。
「最初は何を言われたのか分からなかった。本を読んで依存症を学ぼうとした私は、何かを教えようと頭でっかちだったことに後から気付いた。依存症は一人きりではかからない病で周囲を巻き込む。回復も一人ではできない」と語った。
社会福祉法人神奈川県匡済きょうさい会の「寿福祉センター」(相談所、保育所、診療所を一体運営)の職員を務め、後に寿アルク理事長に就いた村田由夫さんは、依存症の人が断酒できるよう10年かけて支援してもうまくいかなかった経験を披露。
そんな折にミニー神父と出会い、三ノ輪マックに通った依存症の人が回復していく様子を目の当たりにし「夢を見るような楽しい毎日だった。回復する上で、歩くことがとても大切だと分かった」と話した。
ミニー神父は自身がアルコール依存症で、三ノ輪マックを開設したほか、自助グループAA(アルコホーリクス・アノニマス)や回復プログラム「12ステップ」の普及に貢献。歩いて人と会うこと、新しい生き方を見つけることを重視した。
寿アルクは「アルコール・アディクション・リハビリテーション・センター」の頭文字がその由来だが、「歩く」の意味も含む。現在は薬物やギャンブルといった依存症の人も受け入れている。

