福祉制度への提言も 草間教授が新刊発行

2025年1216 福祉新聞編集部

新島学園短期大の草間吉夫教授が「随想よりよいウェルビーイング論」(檸檬新報舎)を出版した。小紙連載「一草一味」や、檸檬新報、日経グローカルなどで執筆した記事をまとめたもので、福祉制度に関する提言も盛り込まれている。

草間教授は1966年生まれの59歳。生後3日で乳児院に預けられ、高校卒業まで社会福祉法人同仁会(茨城)が運営する児童養護施設で暮らした。

大学卒業後は、児童養護施設での勤務経験もある。その際、社会的養護の環境などに疑問を感じ、政治家になろうと決意。松下政経塾の門を叩いた。

39歳から8年間、茨城県高萩市で市長を2期経験。その後は研究者の道を歩み、2025年度からは社会福祉法人親交会の理事長も務めている。

そうした立場から草間教授は本著で、近年の福祉制度の流れや政策トピックなどを分かりやすく解説。特にこども分野に関しては、地方自治体に教育と福祉を一体的に取り組む部署を設置することや、学力向上に取り組む人材を児童養護施設に配置することなどの提言も盛り込んだ。こども施策をより総合的に展開するためこども家庭庁を省に昇格させるべきとも訴えている。

草間教授は「本著は福祉観の集大成でもある」と話す。社会的養護の当事者、施設職員、自治体の首長、社会福祉法人経営者と複数の背景を持つ草間教授の冷静な視点から学ぶことも多いはずだ。

0 Comments
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る