任期を3年に延長 改正保護司法が成立
2025年12月17日 福祉新聞編集部
刑務所から仮釈放された人らの立ち直りを支える保護司の担い手確保を柱とした改正保護司法案が3日、参議院本会議で可決、成立した。施行は公布から1年以内。保護司の定着を促すため、1期2年の任期を3年に延ばす。施行後に委嘱された人に適用する。
27年ぶりの改正
保護司法の改正は1998年5月以来27年ぶり。保護司の人脈頼りだった人材確保については、保護観察所長の努力義務とした。自治体広報の活用などを想定する。
それに関連し、保護司の活動に対し、地方公共団体が「必要な協力をすることができる」とする現在の規定は「努力義務」に格上げした。
現役世代が仕事をしながら保護司の活動をする環境も整える。雇用主が保護司活動をする従業員に、職務専念義務を免除することを促す規定を設けた。
保護司の委嘱条件は「社会的信望を有する」から「人格識見が高い」に改めた。担い手候補の心理的ハードルを下げる狙いだ。担当区域外で職務を遂行できるよう弾力化することも規定した。
保護司は法務大臣の委嘱を受ける非常勤の国家公務員で、無報酬のボランティア。5万2500人の定数に対し、現任者は約4万6000人。その8割が60歳以上だ。
報酬制や公募制を導入することも議論になったが、今回の改正では見送られた。
福祉の情報収集促進
今回の改正法案に束ねられた更生保護法は、保護観察官が対象者の障害特性や病歴などを把握するために自治体、病院、福祉施設などに情報提供を求める権限を付与した。
衆院の審議では、保護観察対象者の中に薬物依存や知的障害などにより医療や福祉的支援の必要な例があることも議論となり、社会福祉士会や精神保健福祉士会が保護司候補を推薦する仕組みづくりの提案もあった。
参院の付帯決議は、保護観察官が医療・福祉など専門的支援が必要な事案に対応できるよう、政府に「研修の充実」と「関係機関との情報共有体制の強化」を求めた。

