高額療養費、長期治療は現状維持 厚労省が見直し骨子
2025年12月14日 福祉新聞編集部
医療費の患者負担を抑える「高額療養費制度」に関連し、厚生労働省は8日、見直し案の骨子を同日の専門委員会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)に示した。長期療養者の負担を減らす「多数回該当」は、現行の負担上限額を維持する。
多数回該当とは年に4回以上、上限額に達した患者の上限額を引き下げる措置。2024年末に政府が発表した見直し案は、この措置の上限額引き上げも含んでいた。
また、負担能力に応じて負担を求めるため、現在の所得区分を細分化する。低所得層の上限額は現状維持か下げる方向で検討する。
一方、70歳以上の低所得層の外来受診の自己負担に上限を設ける「外来特例」は、上限額を引き上げる。対象年齢も引き上げることで絞り込む。
こうした骨子について同日の専門委員会で大筋了承された。政府は年末までに詳細を固める。高額療養費制度は、患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を保険で払い戻す仕組みだ。
昨年の見直し案は、今年8月から上限額を引き上げることとしていたが、政府は患者団体の反発を受けて全面凍結を決めた。

