居場所づくりの助成 シェルター運営など事例発表〈中央共募〉
2025年10月01日 福祉新聞編集部
中央共同募金会は9月3日に新霞が関ビル(東京都千代田区)で、居場所づくりに関する助成を受けた団体の事例発表会を開催した。NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会の担当者が登壇し、コロナ禍でのシェルター運営、事例について話した。
2021年度から4回にわたり計828万円の助成を受けた同会は、鹿児島県内で路上生活者への炊き出しや夜回りなどを実施している。相部屋で最大6人のシェルターを運営し、生活保護の申請者や保護観察所の出所者ら毎年60~70人の男性が利用していた。
しかし、新型コロナのまん延により相部屋での利用を中止。定員を2人に縮小したため、収益が大幅に悪化したことから助成に応募したという。
助成を通じて同会は個室利用となったことを生かし、女性や路上生活者も受け入れるなど活動の幅を広げた。また、全室にパスワードで解錠できる電子キーや清掃ロボットを導入し、管理費削減につなげたという。
この間、障害者や女性支援団体などとも連携を強化。24年度から新たなサロン活動も始め、住居を確保した後の支援も始めるなど活動の幅を広げた。居住支援を担当する村山輝さんは「26年度には長期利用シェルターの運営をできれば」と展望を語った。
これに対して、助成の審査委員長を務めたルーテル学院大の和田敏明名誉教授は「毎回支援の幅が広がっており、助成を4回した意味がある」と指摘。管理体制を合理的に進めていることも評価した。
この助成は新型コロナの影響で全国的に地域活動が休止したことを受け、中央共募が20年7月から「居場所を失った人への緊急活動応援助成」として実施。これまで計307件を採択し、助成額は計7億円に上る。中央共募はこうした助成の分析も行い、今年度中に公開するという。