医師偏在是正で遠隔診療を順次導入 通院負担軽減へ〈厚労省〉

2025年0920 福祉新聞編集部

2040年を見据えた新たな地域医療構想に関連し、厚生労働省は11日、医師数の少ない診療科目から順次、遠隔医療(オンライン診療)を導入する考えを明らかにした。

医師偏在是正策の一つとして、耳鼻咽喉科、眼科といった専門性のある医師が不足する地域が多い現状を踏まえた。

情報通信機器を活用することで患者の通院負担や、医師を派遣する負担を減らす。

遠隔診療は現在も一部が診療報酬の対象となっているが、諸外国と比べると進んでいない。今後はすべての診療科で一斉に導入するのではなく、各地の取り組み事例を集めながら優先順位を定めて導入する。

同日の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(座長=遠藤久夫学習院大学長)に示した。眼科、耳鼻咽喉科については、先行事例も示した。

眼科、耳鼻科で有効

事例は医師がオンラインで患者を診療するだけでなく、医師と医師が通信機器で画像を送受信すること、医師や看護師が同席した患者を遠方にいる医師が診療することを含む。

眼科のない地域に住む視覚障害者が地元の診療所から都市部の眼科に検査データを送信する取り組みでは、通院の負担を減らし、主治医から目の疾患について説明を受けられる利点があるとした。

聴力を補う人工内耳を埋め込んだ聴覚障害者にとっても有効性が高い。地元の診療所と大学病院をオンラインでつなぎ、手術後の定期的な微調整を行う事例を紹介した。対面診療の回数を減らせる点を重くみた。

このほか、皮膚科や休日・夜間対応でも遠隔医療が有効だとしたほか、がん予防や緩和ケアにおいても身近な診療所での提供に資するとみている。

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