高額療養費負担増を見送り 首相、方針を再度転換

2025年0315 福祉新聞編集部

石破茂首相は7日、医療費の自己負担を抑える「高額療養費制度」について、今年8月から3段階に分けて患者の負担上限を引き上げることを見合わせると表明した。

2月末の段階では8月は予定通り実施し、次年度以降については検討するとしていたが、わずか1週間で全面凍結に転じた。今後、再度見直し内容を検討して今秋までに結論を出す。

同日、患者団体と面会した後、記者会見で全面凍結を明らかにした。「本件の検討プロセスに丁寧さを欠いたとの指摘をいただいたことを政府として重く受け止めなければならない」と語った。

高額療養費制度は、入院などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組み。厚生労働省は、医療費全体の伸びを上回るペースで支給額が伸びていることに危機感を抱き、昨年12月に見直し案をまとめた。

その後、患者団体から反対の声が相次いだため、今年2月に入って修正案が2度示された。2025年度予算案は一部修正して衆議院を通過したが、与党からも異論が上がり、再検討を迫られていた。