困窮者の3分の1が「孤独」 コロナ禍前の2.85倍に(大阪しあわせネットワーク)

2025年0313 福祉新聞編集部
施設職員らによる大阪しあわせネットワーク実践セミナー(1月30日、大阪市北区)

生活困窮者の暮らしが、コロナ禍以後も一層深刻化していることが、オール大阪の社会福祉法人で組織する大阪しあわせネットワーク(事務局・大阪府社会福祉協議会)による生活困窮者の分析で分かった。食料などの経済的援助(緊急支援)を受けた申請者のうち、35・9%がコロナ禍以後も「孤立状態」にあり、コロナ禍以前の2・85倍に跳ね上がった。居場所づくりが、急務な情勢だ。

分析の対象は、2016年度から23年度の8年間にネットワークの生活困窮者レスキュー事業によって経済的援助(10万円までの現物給付)を受けた4805件の申請事由。コロナ禍以前(16~19年度)▽コロナ禍の最中(20~22年度)▽コロナ禍以後(23年度)の3期に分けて、比較分析できるように集計した。

原因は「経済」が1番

8年間全体での生活困窮の原因は「経済状態」(94%)が最も高かった。病気やうつなどの「身体・精神の多様性」、失業や不定期就労などの「就業状態」、離婚や虐待などの「家庭環境」が続いていた。

コロナ禍以後(23年4月~24年3月)に絞ってみると、「経済状態」(98・1%)の1番は変わらないが、「家庭環境」(74・7%)が4番目から2番目となり、「身体・精神の多様性」「就業状態」の順となった。

孤立事象35・9%に激増

2番目となった「家庭環境」をさらに見ると、「近親者・親類から孤立・拒絶」「家族の死去」「近親者・親類がいない」を合わせた「孤立事象」が、全体の35・9%に上り、コロナ禍以前(12・6%)の2・85倍に増えた=グラフ。経済的支援を受けた生活困窮者の実に3分の1が、孤立していることになる。

一方、糖尿病、高血圧などの「病気」は、コロナ禍以前(19・4%)から36・5%と大きく増加。「精神障害」や「精神不安定」「うつ」なども増え続け、「精神不安定」は2・1%から12・3%と6倍になっている。

生活支援35・8%に

どのように対処したのか。

コロナ禍以後、「生活保護申請中」が43・2%で1位だが、コロナ禍以前に1・3%だった「生活支援」(食料や引っ越し、滞納支払いなど)がコロナ禍の最中に29・7%に急増。コロナ禍以後も35・8%と増え続けている。

それまで何とか生活していた家庭が突然、失業などで困窮するパターンが加わり、コロナ禍以後も病気などの複合的な要因が重なって、苦境から抜け出せないでいる実態が浮き彫りになった。

事務局を担う大阪府社協社会貢献推進室の宮本明子室長は「コロナを軸にした、初めての分析。孤立は社会的課題です。地域のみなさんと連携して、居場所づくりなどの取り組みを進め、包括的支援体制の確立を目指します」と話した。