保育体験付きお試し移住 富山などでじわり増

2025年0312 福祉新聞編集部
テスト実施した「気仙沼親子おためし移住」の様子=市提供、定住支援センターHPより

子育て家庭が一定期間地域に滞在し、保護者がテレワークなどをしている間、こどもは地域の保育施設に通う――。子育て世帯の移住につながればと、人口減が進む地方でこうした暮らし体験を企画する自治体がじわり増えている。

以前から移住体験ツアーに取り組んできた富山県入善町は今年度から新たに「保育所・学校体験ステイ」を始めた。町への移住を検討し、小学生以下のこどものいる世帯が対象。交通費や食事代は自己負担だが、町移住体験住宅に無料で最長2週間滞在でき、こどもは保育所や小学校に通うというもの。

すべての小学校に保育所が隣接しており、加えて全小学校区で放課後児童クラブ(学童保育)を実施するなど、同町の強みである〝充実した子育て環境〟を肌で感じてもらい、移住につなげていきたい考えだ。

中国・香港在住の1世帯が利用し「保育所はとても広くて清潔、中庭で安全に遊べる仕組みもあり、良い環境」「再度入善町を訪れたい」などと好評だったという。

宮城県気仙沼市では、子育て世帯からの移住相談が増えていることなどを踏まえ、これまでのお試し移住事業を拡充。保育所体験付きの「気仙沼親子おためし移住」プログラムを企画し、2023年度のテスト実施を経て今年度から本格展開している。

市営住宅に1週間から最長2カ月生活でき、こどもは市内の公立保育施設に通う。期間に応じた滞在費と、保育料(週1万円)を負担。初年度は首都圏から2世帯が利用しており、来年度も実施する。

岐阜県山県市は、過疎地域に指定されている市北部の美山地域に家族で滞在してもらい、保育所でこどもを受け入れる試みを今秋に始めたい考えだ。

在園児との交流など地域活性化に期待するほか、豊かな自然に触れてもらい移住につなげる狙いがある。総務省の地域力創造アドバイザー制度を活用し、事業の詳細を検討していく。