特養でAI活用したレクリエーション 利用者の笑顔引き出す
2024年11月04日 福祉新聞編集部東京都豊島区の社会福祉法人フロンティア(水島正彦理事長)は、2019年に始まった産学官協働の「介護AI(人工知能)プロジェクト」に参画している。今年度の取り組みとして特別養護老人ホーム「池袋ほんちょうの郷」の敬老会で生成AIを活用したレクリエーションを行った。利用者のコミュニケーション活性化が目的だ。
豊島区は65歳以上人口のうち、独居高齢者の割合が全国で最も多いことなどから、プロジェクトでは高齢者の生活や介護現場におけるAIの有効活用を検証している。フロンティアのほか、豊島区社会福祉事業団、NTT東日本、立教大大学院、豊島区が協働する。
9月1日に実施したレクリエーションでは、スクリーンに映し出された豊島区の昭和20~50年代の白黒写真(JR池袋駅舎、山手線電車、映画館、三越百貨店など)が鮮明なカラー写真に変わり、さらに写真上の人物や車が動く映像を鑑賞した。生成AIで写真をカラー、映像化した。
利用者は昔懐かしい写真や映像に見入り、「ここで映画を見た」「このデパートに息子を連れて行った」など思い出話が弾み、自然と笑顔が広がった。これまでのレクリエーションや職員との会話では引き出せなかった反応が生成AIを活用したレクリエーションで見られ、回想法のような効果があった。