障害者施設待機者調査の詳細示す 10月実施、人数も把握

2024年0928 福祉新聞編集部

障害者の入所施設やグループホームに空きがなく、多数の入所待機者がいる問題を受け、厚生労働省が実施するとしていた実態調査の概要案が9月19日の「障害者支援施設の在り方に係る検討委員会」に示された。10月に都道府県、指定都市、中核市を対象に、待機者の把握有無、把握方法、基準、人数などを調べる。結果は来年1月に開く次回の委員会に報告される。

全国に2万人を超える待機者がいることがNHKの調査で判明したが、待機者の中には複数の施設に申し込んでいる人、将来に備えて入所を希望する人、入所を申し込みつつも支援があれば地域で暮らしたい人などが混在する。そのため、厚労省は待機者の定義などを整理するため実態を調べる。

都道府県などに過去3年以内に待機者を把握しているか聞き、把握している場合はその頻度、把握方法、人数を調べる。待機者の基準や考え方を設定しているかも聞き、設定している場合は、入所希望は本人か家族か、入所希望時期はいつか、希望をどうやって確認しているかなどを調査する。

また、待機者を把握していない都道府県などにはその理由、今後の予定、市区町村の状況を聞く。

概要案について委員会では「どのような課題を感じているか、地域資源の不足感も把握してほしい」「職員不足で定員を満たせない実情を把握すべき」「入所を断られるケースが浮き彫りになる調査にしてほしい」などの意見が出た。事務局は意見を踏まえて調査項目を設定する。

地域移行で本人調査

同日は、施設に入所している障害者の地域移行を進めるための実態調査の概要案も示された。調査は10月に全障害者支援施設(2524カ所)を対象に行い、基本情報、利用者の生活環境、施設の役割や機能、地域移行後の障害者の地域支援を聞く。

また、ヒアリング調査は、地域移行に取り組んでいる10施設程度を想定。職員、入所中で地域移行を目指す障害者、すでに地域移行した障害者を対象に11月に行う。障害者への調査は職員が同席するなどして落ち着いて会話でき、本音を聞けるよう配慮する。