恩送り隊が始動 善意を次の困窮者へつなぐ(稲沢市社会福祉協議会)
2023年07月27日 福祉新聞編集部愛知県の稲沢市社会福祉協議会は、困窮者支援の一環として6月に「恩送り(ペイフォワード)隊」の活動を始めた。ペイフォワードとは「自分が受けた善意をほかの誰かに返してつないでいくこと」。2000年に映画のテーマで取り上げられ、広まった。同社協は恩送り隊の活動を通じて、サービスや制度のはざまの困りごとに支援の手を差し伸べる地域の共助やネットワークを育んでいく。
恩送り隊は、同社協が市から受託している重層的支援体制整備事業の中の参加支援事業として取り組む。困窮者を支援するボランティア(企業や社会福祉法人など)を募集し、同社協の福祉総合相談窓口で支援が必要と判断された困窮者(引きこもりの人やヤングケアラーなど)に対し、庭の雑木の伐採、ゴミ屋敷の清掃、フードドライブ、居場所づくり、就労体験受け入れなどを行う。困窮者はいつか元気になったらできる範囲で誰かを支え、輪を広げていく。
モデルケースとして1人暮らしで精神障害と白内障を患っている60代の男性宅や、70代の父と30代の引きこもりの娘の自宅など、3軒の庭の雑木を伐採した。作業は商工会議所の有志が行った。
同社協はまずはモデルケースを示し、市民にペイフォワードの意義や効果を広めていく。加藤泰章・同社協相談支援包括化推進員は「活動を見える化してボランティアが集まれば拠点を増やしていきたい」と意欲を見せている。