児童養護施設出身者が現状訴え 児童虐待防止月間

2024年1111 福祉新聞編集部
現状を訴える施設出身の若者たち

こども家庭庁が提唱する児童虐待防止推進月間に合わせて、首都圏若者サポートネットワーク(宮本みち子運営委員長)は1日、JR新宿駅前で街頭募金を行った。児童養護施設出身の若者らが参加し、声を上げた。

街頭募金は同ネットに所属する若者が「社会的養護のことを社会にもっと知ってもらいたい」と提案。武蔵野大や嘉悦大の学生も巻き込み、総勢30人で午前7時から12時間にわたって「虐待により今も苦しんでいる若者がいます」などと呼び掛けた。

参加したあきらさん(26)は幼少期から20歳まで福岡の児童養護施設で暮らした。専門学校を卒業後に上京し、現在都内のIT企業で働いている。在学中はNPO法人ブリッジフォースマイルによる奨学金を取得。月3万円を2年間受け取れたことが今も心の励みになっているという。

今回、同じ施設出身の仲間に誘われて街頭に立った。あきらさんは「個人的に訴えたいことはないが、社会的養護の後輩や社会に対して何らかの恩返しができれば」と話す。

同ネットは2018年から、自立援助ホームやアフターケアを行う事業所など、若者に寄り添う団体を対象にした助成を実施。23年までの実績は219団体・計1億3000万円に上る。今回の募金は団体への助成として使われるという。

同ネットの池本修悟事務局長は「さまざまな人に声を掛けてもらい、ありがたかった。赤い羽根共同募金のように、11月1日を児童虐待防止に向けた全国的な活動の日にしていきたい」と話している。