高齢、障害者の住宅確保 支援法人強化へ、国交・厚労・法務省共催で検討会

2023年0710 福祉新聞編集部
奥田委員(左端)が居宅支援法人について発言した

 1人暮らしの高齢者や障害者など住宅を借りるのが難しい人が増えることに対応するため、国土交通省など3省は3日、住居確保や入居後の生活支援の拡充を議論する検討会の初会合を開いた。大家が安心して貸せる環境をつくることが最大の課題だ。カギを握るのは居住支援法人で、検討会は今秋にもまとめる中間報告に同法人の強化策を盛り込む。

 

 検討会の名称は「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長=大月敏雄・東京大大学院教授)。社会福祉制度を所管する厚生労働省、刑務所出所者の住居確保を含む再犯防止策をつかさどる法務省と合同で開いた。

 

 政府の全世代型社会保障構築会議(座長=清家篤・日本赤十字社長)が2022年12月の報告書で「住まい政策を社会保障の重要な課題として位置付ける」としたのを踏まえ、テコ入れを図る。

 

 国交省によると、住宅を貸したい人は多い半面、高齢者や障害者に貸すことには7割の大家が拒否感を持つという。近隣とのトラブルや家賃不払い、死亡後の対応などへの不安が主な理由だ。

要配慮者に新制度

 そうした不安を解消するため、住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、生活困窮者、子育て世帯、刑務所出所者など)への賃貸住宅の供給を促す「住宅セーフティーネット法」が改正され、17年10月に新制度が始まった。

 

 新制度により、要配慮者を拒まない賃貸住宅の登録戸数は現在84万8846戸。要配慮者に家賃債務保証の提供、住宅情報の提供・相談、入居後の見守りなどを行う居住支援法人(都道府県が指定)は668法人に上る。

 

 しかし、今後、1人暮らしの高齢者や障害者らが増えること、福祉施設の大幅な増設を望めないことを踏まえると、生活支援の付いた賃貸住宅やそれを整える仕組みはまだ不十分と政府はみている。

法人の半数は赤字

 例えば、居住支援法人には最大1000万円の補助金が出るが、全体の半数は赤字だ。支援内容のうち賃貸借契約時の保証人の引き受け、法人が借りて転貸するサブリース、入居者死亡後の葬儀・納骨は「未実施」とする法人が半数以上だ。

 

 検討会委員の奥田知志・全国居住支援法人協議会共同代表副会長(NPO法人抱樸理事長)は同日、「従来は家族が担ってきた見守りなどの機能を果たすことが居住支援の一丁目一番地だ」とし、居住支援法人による支援モデルづくりを国が進めるよう求めた。

 

 これに対し、国交省は検討の方向性を4点掲げ、そのすべてに「居住支援法人」という文言を入れた。特に、同法人が要配慮者の入居後の生活支援を担えるよう後押しすることに意欲を示した。

 

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