障害者の性犯罪被害、加害者の3割が支援者〈法務総合研究所〉

2025年0417 福祉新聞編集部

障害者が被害を受けた性犯罪事件で、加害者の3割が支援者だったことが、法務省の法務総合研究所の特別調査で分かった。障害のない人(16歳以上)への加害者の7割は面識のない人物だった。3月26日公表の研究報告書は、障害者の場合、支援者であっても1対1にしないようにすることを求めた。

同研究所が障害者の性犯罪被害に特化して研究するのは初めて。2021年3月閣議決定の犯罪被害者等基本計画が、障害者の犯罪被害実態の調査を行うよう明記していた。

18年1月から5年間の有罪判決事件で性犯罪の被害を受けた障害者176人(知的障害74%、発達障害19%)と、22年1月から1年間の有罪判決事件で性犯罪の被害を受けた349人(障害なし)を比較した。

それによると、障害者の場合、被害に遭った場所は学校、就労先、療養所、デイケア施設の屋内が最も多い28%だった。加害者は支援者が33%で最も多く、面識のない人が30%でそれに続いた。

加害者の年齢は65歳以上が多い傾向がみられた。被害に遭った時間帯は日中から夕方が多いことも分かった。 研究協力者の一人、大塚淳子帝京平成大教授(精神保健福祉、司法福祉論)は本紙の取材に「こどもの性被害対策に比べて障害者の場合は進んでおらず、被害は潜在化しがちだ。この研究が端緒となって、障害福祉に携わる人にも関心を持ってほしい」とコメントした。

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