難聴者に文字表示 電話リレーの新サービス「ヨメテル」

2025年0129 福祉新聞編集部
難聴の経験を持つタレントの椿鬼奴さん(中央)が21日、都内のイベントでヨメテルを実演した=日本財団電話リレーサービス提供

聴覚障害者が手話のできる通訳オペレーターを介して聞こえる人と連絡する「電話リレーサービス」の新サービスが23日、始まった。相手の声をオペレーターを介さずに文字で読み取れるもので、サービス名は「ヨメテル」。難聴や中途失聴などにより、話せるけれども相手の声が聞こえにくい人が主な利用者だ。

オペレーター介さず

従来の電話リレーサービスは、オペレーターに通話内容を知られることや、内容が間違って伝わることを嫌う人が少なくなかった。

ヨメテルは専用のアプリを入れたスマートフォンで相手に自分の声で直接伝え、相手の声がAI(人工知能)で瞬時に文字変換されて読める点が特長だ。

新サービス「ヨメテル」のイメージ図=日本財団電話リレーサービス提供

 

電話を受けた側には機械音で「電話リレーサービスのヨメテルです。あなたの声を文字にして相手に表示します。はっきりとお話しください」というアナウンスが流れる。

サービスの根拠法を所管する総務省は21日にヨメテルの開始を発表し、「電話を受けた側が誤解しないよう周知することが重要だ」としている。

電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難がある人とそうでない人の電話を、オペレーターが通訳してつなぐサービスだ。24時間・365日利用可能で、110番など緊急通報もできる。

聞こえない人が利用するには事前の登録が必要で、登録すると専用番号が付与される。こうした点はヨメテルも同じだ。

電話リレーサービスは2021年7月、法律に基づく公共インフラとして開始。一般財団法人日本財団電話リレーサービス(大沼直紀理事長)が総務大臣指定のサービス提供機関だ。

24年12月末時点の利用登録者数は個人・法人を合わせて1万6887。ヨメテルも同財団が提供し、今年3月末までの利用登録者数(個人・法人)を5000と見込んでいる。