ケアマネも賃上げ対象 介護従事者に月1万円〈補正予算〉
2025年12月07日 福祉新聞編集部
政府は11月28日、物価高対策を柱とする総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を閣議決定した。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権が初めて策定した予算案の一般会計歳出総額は18兆3034億円。財源の6割超を新規の国債発行で賄う。
厚生労働省分は2兆3242億円で、そのうち3281億円が介護・障害福祉分野への支援パッケージだ。介護従事者には12月から26年5月までの半年間、賃金を月1万円引き上げる。全額国費の補助金を交付する。
これまでの処遇改善加算では対象外だったケアマネジャーや看護職員も賃上げの対象とする。
生産性の向上に取り組む事業者の介護職員には月5000円を上乗せするが、これは介護職員限定で、ケアマネジャーや看護職員は対象外だ。
また、研修などを通じて職場環境の改善を図る事業者にも補助メニューを設け、介護職員1人当たり4000円の賃上げに充てることも可能とする。
訪問や送迎の費用補助
物価上昇を踏まえ、事業継続の支援策も設ける。介護施設・事業所に対し、訪問や送迎に伴う経費や大規模災害への備蓄品購入の費用を補助する。国が4分の3を負担する。
その上限額は特別養護老人ホームなど入所施設の場合、定員1人当たり6000円。通所介護事業所の場合は事業規模によって1事業所当たり20万~40万円を上限とする。
入所施設には食品の購入費も定員1人当たり1万8000円を上限に全額国が補助する。担い手不足が深刻なケアマネジャーの確保や事務負担の軽減も補助金(国が3分の2を負担)で支える。
障害福祉、児童福祉も措置費・給付費アップ
障害福祉の従事者も月1万円の賃上げ半年分(12月~26年5月、全額国費)を計上したが、介護職員のような5000円の上乗せはない。施設への事業継続支援の補助もない。
こども家庭庁も福祉分野の職員の処遇改善の予算を計上した。保育所の保育士については844億円を用意し、5・3%改善する。保育士1人当たり年間で20万円引き上げる。
児童養護施設など社会的養護の施設や障害児施設で働く職員の処遇改善には233億円を計上した。社会的養護施設は措置費を4・9%、障害児施設(措置費)は4・8%引き上げる。
措置費は今年4月にさかのぼって適用し、地方負担にも跳ねる。職員1人につき、どの程度の賃上げになるかは不明だ。一方、障害児施設への給付費は全額国費の補助金(183億円)により、職員1人当たり月1万円アップする。期間は12月から26年5月まで。
このほか、物価高に対応するため、保育所、放課後児童クラブ、社会的養護施設には特例的な加算や補助を設ける。

