介護保険崩壊に危機感 ケア社会をつくる会が集会
2025年06月11日 福祉新聞編集部
介護や医療関係者らによる「ケア社会をつくる会」は5月28日、院内集会を開き、参議院議員選挙を前に各政党へ送った介護政策に関する公開質問の結果を公表した。与野党ともに介護保険制度崩壊への危機感を持っていることが明らかになった。
介護保険制度をめぐっては、2024年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬が減額となったことなどから、訪問介護事業者の倒産件数が過去最多を突破した。これを受け同会は、介護保険制度が崩壊する危機への具体策があるかを質問したところ、与野党ともに「はい」と回答した。
自民党は、訪問介護の経営状況は地域特性や事業規模などによってさまざまで、引き続き物価高騰や賃上げに対応する支援に取り組むと強調。公明党は人口減少が進む中で安心して介護サービスを受ける環境を整えることは重要な課題だとした。
立憲民主党は、どの自治体でも介護サービスが提供されることを担保する仕組みが必要だとし、自治体がホームヘルパーなどを公務員として雇用しやすくする補助制度の構築の必要を強調した。
訪問介護の基本報酬減額を次期介護報酬前に撤回するかという質問に自民は「いいえ」と答え、地域や事業規模ごとの状況を踏まえた取り組みを行うと表明。公明は「その他」とし、報酬改定における効果検証を踏まえて対応する考えを示した。立憲は「はい」と回答し、速やかに訪問介護事業者に支援金を支給することなどを訴えた。
また、介護保険の利用者負担を標準1割から2割にすることについて自民と公明は「その他」と回答。立憲は2割に上げると利用控えが起き、高齢者の要介護度が悪化する恐れがあるとし、物価高騰の中では認めない方針を示した。
院内集会には、田畑裕明自民党衆院議員、竹谷とし子公明党参院議員、早稲田ゆき立憲民主党衆院議員らが参加した。