自治体や事業所で利用者情報を共有 介護情報基盤26年4月から(厚労省)

2024年0722 福祉新聞編集部
介護情報基盤のイメージ

厚生労働省は8日、社会保障審議会介護保険部会を開催し、市町村や介護事業所などが利用者の情報を共有する「介護情報基盤」に関するスケジュールなどを示した。事業者には環境整備やセキュリティー対応などを求めた上で、2026年4月1日から施行する考え。

現在、利用者に関する介護情報は、それぞれの事業所や自治体などに分散しており、中には紙でやり取りしているケースもある。そのため、厚労省は利用者のマイナンバーを活用し、自治体や事業所などが共有する情報基盤を整備する方針だ。システムは国民健康保険中央会が新たに開発する。

介護情報基盤では介護保険証や要介護認定、ケアプランなど、さまざまな情報を共有。介護事業者は確認のためウェブサイトを経由することで閲覧できるという。

会合で厚労省は、介護事業者が施行までに必要となる準備として、情報閲覧やマイナンバーカードを読み込む端末の準備や、セキュリティー対策などを挙げた。一方、自治体には介護保険事務システムの標準化に向けた改修を求めている。

今後の検討課題については、介護事業所への導入負担や情報セキュリティーの担保、情報共有に関する本人同意などを挙げた。

会合では、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長が「医療と介護の情報に横串を刺すことが必要だ」と述べ、生活機能を共通の指標で情報収集することが重要だと訴えた。

また、事業者のネット環境の整備は大きな支出だとして「イニシャルコストとランニングコストをサポートしないと絵に描いた餅になる」とくぎを刺した。

全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「今後の展望や事業者が準備するための具体的な情報が不足している」と指摘した。

一方、全国市長会の大西秀人介護保険対策特別委員長は「自治体が円滑に準備できるよう早急にシステム仕様書を示し、整備費用の財源確保をお願いしたい」と求めた。