改正社会福祉法が成立 身寄りない高齢者の入院や死後事務支える事業創設
2026年06月27日 福祉新聞編集部
頼れる身寄りのない単身世帯の高齢者らへの支援強化を盛り込んだ社会福祉法などの一括改正法が19日、参議院本会議で可決、成立した。日常生活のほか入院時や葬祭なども支える事業を創設する。人口減少や単身世帯の増加に対応できる福祉の基盤づくりが狙いだ。施行は一部を除いて2027年4月1日。
一括改正法は介護保険法、障害者総合支援法、生活困窮者自立支援法、社会福祉士及び介護福祉士法などを束ねたもので、改正内容は多岐にわたる。さらなる人口減少を見据えた改正事項が多い。
身寄りのない人への支援は、社会福祉法の「福祉サービス利用援助事業」を「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」に改めた。都道府県社会福祉協議会に取り組みを義務付け、民間企業の参入も促す。
「等」には葬祭といった死後事務を入れた。この事業の施行は公布から2年以内。事業の対象者や死後事務の範囲などは今後決まる。
小規模市町村に対応
人口減少下でのサービス基盤の維持を意識したのは、厚生労働省令で定める「小規模な市町村」への対応だ。高齢、障害、児童といった分野ごとの相談事業を一体的に行えるようにする。
介護保険サービスについても、人口減少によって事業所の維持が難しい中山間地などでは、人員配置基準を緩和した特例として「特定地域サービス」を創設する。
「特定地域」の範囲は今後決まる。このサービスでは月単位の定額報酬を導入できる。施設と在宅のいずれも対象だ。障害福祉分野にもこのサービスを設ける。
このサービスでも事業所を維持できない場合は、地域支援事業(市町村事業)に人員配置基準のない「特定地域居宅サービス等事業」を設ける。
介護の「特定地域」万策尽きたか?
この点は16日の参院厚生労働委員会で参考人から意見が続出。菊池馨実早稲田大教授は「介護保険は自治事務だ。地域の特性に応じた配慮は配置基準の柔軟化でなし得る」と理解を示した。
一方、認知症の人と家族の会の志田信也氏は「今回の改正は万策が尽きた時の内容だ。今はまだそこまでは来ていない」とし、介護職員の処遇改善や移動の負担軽減など人材確保のため国がやれることはまだあるとした。
「特定地域」がなし崩し的に広がらないよう歯止めを掛ける方法として、ニッセイ基礎研究所の三原岳氏は「厚労省令に委ねるのではなく、政令で定める、内閣が絡む形にすべきでは」と提案した。
介護福祉士の経過措置さらに5年間延長
このほか、人材確保に関連し、介護福祉士養成施設卒業生については国家試験に不合格でも介護福祉士として働ける経過措置を再び5年間延長する。
介護福祉士らによる都道府県の「災害派遣福祉チーム」(DWAT)については、社会福祉法に位置付け、国によるチーム員の登録制度を導入する。現在は都道府県ごとに登録し、全国に約1万人。

