基礎年金底上げで修正 改革法案が衆院を通過

2025年0607 福祉新聞編集部
年金改革法案について答弁する石破首相(左)=5月30日、衆院厚労委員会

パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃することを柱とした、年金制度改革法案が5月30日午後、一部修正の上、衆議院本会議で可決された。自民、公明、立憲民主の合意により法案の付則に基礎年金の底上げ策を明記し、2029年の年金財政検証を踏まえて底上げの是非を判断することとした。法案は参議院に送付され、政府は6月22日の会期末までの成立を目指す。

底上げ策は就職氷河期世代が将来受け取る年金が目減りするのを抑えることが狙い。その財源は厚生年金の積立金と国庫負担だ。

厚生年金の被保険者にとっては積立金の流用だとする批判があるが、30日午前の衆院厚生労働委員会で石破茂首相は底上げにより「最終的には99.9%を超える厚生年金受給者の給付水準が上昇する」と述べた。

長妻昭氏(立憲民主)に答弁した。24年3月末の基礎年金受給者のうち、基礎年金のみを受給する人は5%で、基礎年金に加えて厚生年金の受給権のある人は95%に上るとも答弁した。

障害年金にも影響

底上げ策は障害年金にも関係する。厚労省によると、障害基礎年金2級の24年度支給額(月額)は約6万7000円で、政府原案の通りだと52年度は約5万5000円に下がる。一方、底上げすれば52年度は約6万8000円になる。

28日の衆院厚労委で間隆一郎年金局長が池田真紀氏(立憲)に答弁。金額は名目額ではなく実質額だとした。

障害年金をめぐっては、24年度に不支給が増えたとする報道も論点となり、30日の付帯決議では「恣し意い的な判定がなされないよう透明性を確保するための検討をすること」を政府に求めた。

また、障害年金の判定に関連し、医学モデルのみならず、社会モデルも踏まえて日常生活を把握して等級を決めるよう求めた。

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