食費基準引き上げ 全国老人福祉施設協議会が厚労省に物価高で要望
2025年01月27日 福祉新聞編集部全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)は8日、厚生労働省の黒田秀郎老健局長に対し、物価高騰の影響を踏まえて食費の基準費用額を利用者1人当たり1日309円上げることなどを盛り込んだ要望書を提出した。
総務省の調査では、2024年11月の食料価格が3年前と比べて21%上昇するなど物価高騰は続いている。一方、食費の基準費用額は21年に1445円になって以降、据え置かれている状況だ。
老施協が全国の特別養護老人ホームを調査したところ、24年6月の利用者1人当たりの食費は1日1754円と基準を超えているのが現状。2年前と比べると91円増えていた。
特養に勤務する栄養士からは「価格が高騰して使えない食材が増え、献立の幅が狭まっている」などと工夫の余地がない状況を危惧する声があるという。
そのため要望書は、食費の基準費用額を実態に合うよう、次の介護報酬改定を待たずに309円引き上げるよう要請。また、介護報酬改定の中間年に賃金や物価の上昇率によって改定する仕組みを導入するよう求めた。
大山会長は同日、厚労省を訪れ、黒田局長に要望書を提出した。黒田局長は「食費の高騰対策は補正予算が早期執行できるよう自治体に働き掛けたい」と回答。その上で「その後も必要な状況が続くようであれば、利用者負担の限度額や在宅者とのバランスなどを見ながら検討しなければならない」との認識を示したという。