介護人材の山脈型モデル 多様なキャリアパス示す(厚労省)
2024年09月13日 福祉新聞編集部厚生労働省は、介護人材確保の目指す姿として新たに「山脈型キャリアモデル」=図=を打ち出した。これまでの「富士山型」は一本道のキャリアパスだったが、一人ひとりの志向や多様な働き方に合わせて複数のキャリアを選択できることを明確にした。同モデルの普及に向けて2025年度概算要求で試行事業の予算を計上した。
富士山型は裾野を広げて多様な人材を確保し、専門性を高めて質の向上を目指すもの。15年に富士山の輪郭をイメージして示された。それ以前のキャリアパスが見えづらく、役割が混在していた「まんじゅう型」からの転換を図った。
しかし、富士山型は施設長などのマネジメント職を目指す道が強調されており、現場でケア技術を極めたい人などに適さない面もあった。
そこで本人の意欲や能力、ライフステージに応じて、行きつ戻りつしながらさまざまなキャリアアップができるものとして山脈型を示した。吉田昌司福祉人材確保対策室長は「富士山型は一人ひとりがどこを目指すのか見えにくかったので道標を示せるよう整理した」と話す。
具体的には、介護の知識や技術を学び、経験を積んで介護福祉士になる。さらに専門性を深化させ、人材育成に関わり、サービスのマネジメントを担う。その後のキャリアとして「経営マネジメント」「認知症ケア、看み取とりケアなど特定スキルの追求」「現場に加え地域の介護力向上の推進」を示し、自ら選択し目指すことをイメージしやすくした。また、厚労省はそれぞれのキャリアに対応する役割と受講すべき研修も体系的に整理した。
モデル事業で普及へ
25年度は山脈型を普及させるための試行事業を行う。専門家の支援を受けて法人が職員の意向を踏まえたキャリアパスを作成。取り組み手法や効果などを分析し、事例発表などを通じて周知する。吉田室長は「ポイントは法人と職員が話し合い、一人ひとりのキャリアパスをつくっていくことだ」とする。
キャリアパスの選択肢が複数あることを示し、職員の目指す道が変わったとしても法人がフォローする環境をつくっていくことが人材確保、定着にもつながる。