上半期、介護の倒産80件超え 2000年以降過去最多(東商リサーチ)

2024年0723 福祉新聞編集部

東京商工リサーチは4日、2024年上半期に倒産した介護事業者が80件を超え、過去最多だったと発表した。報酬改定などの影響が大きいとして、今後も倒産は増え続けるとみている。

1~6月の介護事業者の倒産は前年比1・5倍の81件。介護保険法が施行された00年以降で最多だった。これまではコロナ禍だった20年上半期の58件が最も多かった。

業種別では、訪問介護(40件)▽通所・短期入所(25件)▽有料老人ホーム(9件)の順だった。原因別では、利用者を獲得できないことによる売り上げ不振(64件)が最多。赤字累積などの既往のしわ寄せ(5件)、過小資本と放漫経営(各3件)なども挙がった。

都道府県別では、大阪(11件)▽東京(6件)▽神奈川(5件)の順で多かった。

従業員数別では、5人未満が47件と小規模事業者が6割。負債額別では、1億円未満が61件、1億円以上が20件となっており、中型、大型の倒産も増え始めている。

24年度の介護報酬改定はプラス1・59%となり、介護職員の処遇も2・5%改善。しかし、訪問介護については基本報酬が下がる結果となっていた。

同社は、介護事業者の倒産増加について、介護職員の処遇改善以上に、他業種で賃上げが加速していることも影響しており「人手不足や物価高の先行きが不透明なだけに、介護事業者の倒産は当面増勢をたどりそうだ」としている。