保護司の公募制試行 「現役世代確保を重視」(法務省)

2024年0409 福祉新聞編集部

法務省は3月28日、犯罪や非行をした人の立ち直りを支える「保護司」を確保するための検討会(座長=倉吉敬・中央更生保護審査会委員長)を開き、中間報告をまとめた。

 

インターンシップやセミナー開催などを通じて候補者を募る「公募制」を、2024年度から各地の保護観察所が試行する。

 

現在は保護司が自らの人脈を頼りに後任を探すのが主流だが、今後は本業を持つ現役世代の確保を重視する。

 

法務省はすでに公募制をとる保護司会の好事例を集めるほか、自薦候補者の選考方法を含んだ指針を作る。10月までに最終報告をまとめ、25年にも保護司法の改正を目指す。

 

保護司の中には、民生委員も委嘱されている人が少なくない。保護司の職務について連絡・調整する「保護司会」(全国に886)の事務局を担う社会福祉協議会もある。保護司法の改正があれば、福祉分野にも影響が及ぶ可能性がある。

 

保護司は刑務所や少年院を出た保護観察中の人と定期的に面会し、相談に乗るボランティアで、保護司会の推薦を受けた候補者の中から法務大臣が委嘱する。5万2500人の定数に対し、現員数は22年1月時点で約4万6700人(充足率89%)。60歳以上が約8割を占め、高齢化や担い手不足が課題となっている。

新任時の上限年齢撤廃

中間報告は、新たに保護司に委嘱される際の上限年齢(66歳)を25年度から撤廃すると明記。保護司に関心を持つ自治体職員らを登録しておき、退職時に更生保護活動に参加してもらう仕組みも25年度から導入する。

 

公募制については「誰でもいいわけではない」「選考するのが難しい」といった意見があり、全国一斉の導入は難しそうだ。保護司に報酬を支払うことも論点だが、これにも慎重論があるため引き続き検討する。