障害者就労B型から一般就労に挑戦 福祉法人が商業施設にうどん店(大分)
2024年03月10日 福祉新聞編集部農場を持ち、飲食店やリゾートホテルの運営などで障害者雇用を充実させている社会福祉法人博愛会(釘宮卓司理事長)は4月初旬、大分市中心街に新設される商業施設に本格的なうどん店を出店する。就労継続支援B型事業の拠点となるが、知的障害のある若者の訓練校「博愛大学校どりーむ」の実習先にも位置付ける。どりーむからの一般就労は今春、開設21年で100人を超える。「B型からも一般就労を狙える訓練を」。新店舗に託した挑戦が始まる。
新店舗は、大分市役所(大分市荷揚町)と4月1日にオープンする別館が入る複合公共施設(新防災拠点)をデッキでつなぐ商業施設「荷揚リンクスクエいア」の2階にできる。
テーブル席18、カウンター席22の計40席。就労継続支援B型事業の利用者や、どりーむの実習生ら8~10人が接客や調理補助、洗浄作業などを行う。
就労B型プラス(+)
「就労B型から一般就労に就くのは難しい……そんなイメージを払しょくする『就労B型プラス(+)』のような事例をつくっていきたい」
新店舗の運営を担う博愛会地域総合支援センター施設長の釘宮慶太さんは、こう話した。就労A型は雇用契約を結べる利用者を対象とした事業だが、就労B型は雇用契約の難しい利用者を対象にした事業だ。
そんなB型の利用者にも、一般企業への就職を目標に作業できる環境をつくりたい、高い工賃を実現し、お金を稼ぐことの大変さや、達成感も学べる場所にしたいという思いを持っている。
店のブランドづくりにもこだわり、内装は一流のデザイナーに依頼。麺とだし汁も自家製で、素材にこだわったメニューを提供する。
「誰もが憧れるおしゃれな場所で働く。接客もする。就労B型の皆さんが、訓練の積み重ねで一般企業に職を得ることは可能だと思っている」
釘宮さんが描く、就労B型プラス(+)構想。「お客さんには、真っすぐなおもてなしも楽しんでいただきたい。ライバルは、一般の店舗。本物の味を提供する」と話した。
卒業生全員一般就労へ
どりーむの今年度の卒業生9人は全員、一般就労を決めた。開校してからの一般就労は108人になった。
節目の100人超え。どりーむの運営を担う支援課長の豊田聡恵さんは「大学校の取り組みをもっと知っていただき、働く喜びの輪が広がることを望んでいる」と話した。
社会福祉法人博愛会
1950年3月設立。理念は「人の喜ぶ顔を見て喜びなさい」。目指すものは「やさしさ日本一の社会福祉法人」。大分県の大分、竹田、杵築市などで障害者支援施設7カ所、養護老人ホーム1カ所、就労継続支援A型事業としてリゾートホテル、温泉観光施設、県立美術館カフェ、レストラン、弁当工場などを運営。事業活動収入は22億円(うち就労支援事業収入は5億6000万円)。職員数約160人。支援対象者約500人(就労A型約80人)。