日本ケアラー連盟「支援拠点を自治体に」 国に財政支援を要望

2024年0117 福祉新聞編集部

日本ケアラー連盟(代表理事=堀越栄子ら)は、各自治体がケアラー相談支援センター(仮称)を設置して専門人材を配置できるよう、国に財政支援を行うことを提言している。

 

ケアラーとは心身に不調のある家族などを無償で介護や世話をする人で、18歳未満はヤングケアラーとされる。近年その存在や抱えている課題が顕在化する中、連盟は「どの自治体に住んでいても必要な支援を受けられるようにすべき」とする。

 

2023年末時点で埼玉県など19自治体がケアラー支援条例(ヤングケアラー支援含む)を制定している。こども家庭庁ではヤングケアラー支援策に取り組み、医療的ケア児支援法(21年9月施行)、認知症基本法(24年1月施行)では家族支援が盛り込まれている。

 

しかし、個別制度ごとに対策が検討、実施され、先行して取り組む自治体では相談窓口の設置や人材確保に苦慮している。そのため連盟は「自治体単位で総合的に対応できる相談窓口の設置と、知識があり継続的にかかわれる人材の育成、配置が必要」とする。

 

センターの業務は問題把握、支援計画策定、グループ活動、健康・就労相談、緊急時対応、メンタルヘルス対応など多岐にわたり、人員は3人以上配置し、設置運営費は1カ所当たり約2500万円と推定している。

 

12月11日に厚生労働省と総務省に緊急要望書を手渡した堀越代表理事は「ケアの負担軽減とケアラーが自分の人生を歩めるような支援の両方がないとケアラー支援にはならない」と述べ、ケアラー支援専門の人材育成のほか、地域の支援団体の活動への助成も求めている。