和気致祥に立ち返って〈コラム一草一味〉
2026年06月06日 福祉新聞編集部
福祉社会総合研究所 代表 和田勝
2025年10月17日に101歳で亡くなられた村山富市元首相のお別れ会が4月に東京都内で催された。村山先生は、地元大分の市議、県議を経て衆議院の社会労働委員会や、国会対策の分野を中心に活動をされた清貧の政治家であられる。
1994年6月、55年以降続いた自由民主党・日本社会党による政治体制「55年体制」に終止符を打って、「自社さ連立政権」の総理大臣に就任された。
村山内閣は、発足間もない94年7月に「自衛隊合憲、日米安保堅持」に政策を大転換し、翌95年6月、衆議院本会議で自民・社会・さきがけ3会派共同提出の「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」(不戦決議)を可決させた。また、8月15日に村山談話「戦後50周年の終戦記念日にあたって」を閣議決定した。
94年11月には消費税率引き上げ(3%→4%、地方消費税分+1%)、年金改革、邦人救出のための自衛隊法の改正、被爆者援護法成立、水俣病対策の解決、行政改革法成立など、歴代政権が手をつけられなかった国政上の懸案の多くを処理する実績を上げられた。
私は81年の老人保健法制定、84年の健保法大改正などに従事した際によくお目にかかり、時には上野の居酒屋、岩手屋で歓談いただくなど謦咳に接する機会も多くいただいた。そんなご縁もあって、総理御就任直後に古川貞二郎事務次官とも相談して全社協ホールでお祝い会をもたせていただいた。
その際に老書家、金子鴎亭さんに揮毫いただいた「和気致祥」の額装を贈呈した。1世紀ごろに出された中国の正史『漢書』劉向伝にある「和気は祥を致し、乖気かいきは異を致す」に由来するもので、人の心や空気が和やかで穏やかであれば、自然にめでたいことや良い結果がもたらされる、と解される熟語である。気に入っていただいたようで、官邸執務室に長く飾られていたとのことだった。
内外ともに分断と対立、軍事衝突が続く今こそ、「和気致祥」の教えに立ち返って外交や内政を進めていただき、平和な世界の実現を願うものである。

